by fujita929
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何かは変わりつつある。 そう身体の中から聴こえてきたのは数日前のこと。 これは確かなことかどうかも解りません。 でも、確かに聴こえた気がした。 ただ、異常なこの夏の暑さも峠を越えたようで そろそろ何かあってもいい気はしています。 まだ気分も体調もすぐれない日々の頃、 大阪からヤフオクの中古品が届きました。 名づけて「中古竿かけ三脚・大阪くん」 1600円ぐらいです。 それで、梱包を解いてみて驚いたのは、この伸び縮み式三脚が かなりの年代物で予想していたよりもはるかに頑丈だったことでした。 「なんか、ずいぶんしっかりしている....」 その鉄の材質、アルミの補強処理、ねじ、ナットのひとつひとつ、 地面の尖った設置点は銅製で、少し緑青が噴いています。 脚部伸び縮みの締め固定は年代を経た硬化プラスチック。 その光沢が厚手でいい。 たぶん20年以上前の製品でしょう。小さい割りに重さがありました。 とにかくスチール、ハガネが良く使われていて、いわゆる鉄の重み。 アルミも軽くはなくその貼りあわせが頑強で、滅多なことでは壊れそうにない。 確かに長い棒を掛けておくものですから、それだけに安定性は必要でしょう。 それにしても、思っていたよりしっかりとできていて、 なにか小さい感動を得た毒野藤田オカモトではありました。 (今後オカモトは省略します。オカモト期終了) 体調が悪い悪いと出かけないでいるのもどうなんだ? そんなことを改めて考えさせた大阪くんではありました。 電車トレッキング釣行は荷物を制限せざるを得ないのです。 そこに、コンパクトではあるけれど、ちと重い仲間が仲間入り。 まぁそれがこの猛暑に外へ出ろとけしかけます。 仕方なくそれを使い慣れた渓流竿と共に竿バッグに納め、 5時16分の各駅停車には乗り込んだ体調不良くんでした。 天気は曇天を、魚はヤマベやら夏ブナを狙います。 曇天は大切で、もしくは必ず日陰の確保できる釣り場へ出かけます。 雨は困りものですが、8月の日射は同じく危険。でもバックパック容量制限の 釣行ゆえパラソルは運べないのです。荷物は極力少なく軽快に行きたい。 それが信条というもの。トレッキングも電車内読書も軽快に行きたいものです。 それで、まぁ曇ったり、時々降ったり... 降ったら木陰に逃げ込んで、照っても長袖は脱がないで。 ネリ餌の加減やら、ウキ下の長さ(タナ)調整、流しの筋を変えてみたり、 オモリを足してみたり外してみたり、餌の大きさの変化をつけたり、 仕掛けごと変えたり戻したりしては誘ったり止めたり誘ったり......... ひたすらにそのウキの変化を追い詰めてゆく3時間ちょっと。 そんな棒の端にくっついた体調不良という馬鹿のため 大阪くんはしっかり仕事をしてくれました。一方、馬鹿は曇天にわか雨とはいえ そこそこ日焼けなどしてふらふらです。 杉並に帰ると虹が立ち、阿佐ヶ谷能楽殿では今年もバリ舞踊が踊られていました。 http://gallery-garan.air-nifty.com/ 釣りもトレッキングも消耗した上 駅までの帰り道はしとど雨に濡れました。曇るメガネで先もよく見えず、 聴こえてくるのはヒグラシの声ばかり。 ああ、もう夏は終盤には入るのです。 濡れた身体で電車に乗り込むと、「がん幹細胞の謎」の続きは始まり、 あっという間に日暮里やら立川やら新宿やら。あわてて本を仕舞いこんで 乗り換えですけど、だからパラソルは持って行けないんだ大阪くん。 でもまぁまぁ良く釣れた。 竿バッグ代わりのヨガマットバッグの中の大阪くんはひっそりずっしり静かです。 あーそうか。 足元で電車の揺れにゴロつく大阪くんを固定しながら踏ん張る藤田思う。 こういうものが、今作られなくなったんだな。 きちんとしたものを作ることが減ったんだな。 きちんとしていなくても別にいいよ、軽かったら、安かったら、早く届けば ってなったんだな。 時代がそうなっていい物を捨てたんだなぁ。 電車は西荻に着いた。 坂道を良く歩き、大量の汗をかき、おまけに雨にも降られて ヒグラシの洗礼を受けました。 そのせいかな、それともバリの王家の力かはたまた、大阪くんの底力か 身体の芯の方から声がした。 それが「普通」というもので、長いこと僕の身体に不在であった 「普通」の声が聞こえました。 普通は、蒸し暑い夕方にざああっと雨が降って、それで疲れているはずなのに... 散歩に出た僕は着なれたボロいポロシャツを汗で濡らす。 それがなんというか、普通にできる。 そうしてしばらく西荻の街を歩いていられる。 声はかすかに続いている。 僕は歩いていて古いポロシャツは汗に濡れて、それが嫌じゃない。 それがなんともうれしくて、僕は涙が出そうになる。 ポロシャツで汗かいてるだけなのに
by fujita929
| 2017-08-11 12:41
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