by fujita929
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これはラジオですが とても優れたラジオ。 というのも、 実は、発電機です。 これを先月の渡航に持って行った。 こいつはラジオという前に、発電機、と呼ぶべきかもしれません。 つまり、乾電池とかバッテリーとかACアダプターとか要らないラジオ。 すごいでしょ。 この赤いレバーをぐるぐる回していると発電しちゃうのである。 それで、AMもFMも聴ける。 かつ、なんと懐中電灯ライトも付いている。 かつ、 非常時アラーム(たとえば倒壊家屋の中にいたらこれを鳴らして外部に知らせることができる) かつ、なーんと携帯電話が充電できる! こういうものを便利というのではないでしょうか。そんなに高くもない。 毒野藤田、感心してる。 メーカー名の記載もない。軽い。デザインも機能そのものが無駄なく形となっている。 あえて名づけるなら「はつでんくん」 進化し続けるケータイとかワンセグとかいう一方に、こういうものがあったのです。 電源が要らないラジオ、つまり昔でいう鉱石ラジオじゃないけど、ピンホールカメラじゃないけど、 なんかすごく安定した実力を持っているものだと感じました。 この「ケータイを充電できる」ってところが、なんか大人でしょ? 決してケンカなんかしていない。じっとして、なんというか、軽くて安っぽいけれど たたずまいがある。 褒めすぎかな。 でも、とにかく僕は一日目のサンタモニカ時差の夜、ホテルのベッドで ケーブルテレビを消してから、このはつでんくんをつけた。 そしたら、いきなり知っている曲が流れた。 カーティス・メンフィールドでした。 Move On Upがこのポンニチ発電機から流れたとき、なんか感動しちゃったのです。 もう、亡くなって随分経ちますね。知らない人も多いだろうなー。 ♪ 海外の仕事は、そうは言ったって気張っている。 普段とは違う緊張感であらゆる時間を過ごしています。 そういう中、どういう方法で自分のペースを乱さず確保するかってこと、割と重要。 でもって、今回の渡航はこの「はつでんくん」が小さくも頼もしく役立った。 このカーティス・メンフィールドというおっさんには、たたずまいがありました。 もちろんフリークだらけのアーティストだから、何を今更語るもおこがましい。 ただ、なんかいいんだな。 Move On Up!って、興味ない人にはどうってことないソウルナンバーだろうけど シンプルなコード展開がフシギに飽きない。そこが、なんだかすごくいいんだよなー。 それで、まぁなんとかミッションを終えて帰国。 間髪入れず、日本でもごたごたっと撮影して、それでかの疲労連休に入りました。 前回ブログのアリナミン型連休です。 そして、連休も明けた。 頭のネジはこりゃまったばっちりゆるんでる♪ままだけど(花のピュンピュン丸主題歌より。古!) どうにかこうにかぐったり疲れは抜けてきたようです。 それでね、 また聴いたんですよMove On Up!って元気出そうと思って。 そうしたら、ユーチューブでいろいろ検索していると 昔のThe Jamのライブ版Move On Upが出てきて なつかしーなーって聴いていました。 で、ポール・ウェラーですよ最近もフジロックに来たポール・ウェラー。 かっこいい。ジャムはシングル盤を持ってる。 でもってまぁ「この頃はまだあの歌うたってんのかな」と思い、 さらに探したんです。 スタイル・カウンシルのMy Ever Changing Moods. あったあった。 ・・・・いやー、えらくかっこいい。 スタイル・カウンシルの時よりずーっといい! 歌がすごく上手い。上手くなったんだって思った。すごい説得力だ。 もはや、おしゃれなヒットシンガーというものとは違う。 でもなにより、そのポール・ウェラーというあり方が、もう抜群に格好いい。 なぜそう感じるのか? 上手く言えない。 昔、スタイル・カウンシルって、なーんて都会派の洗練されたバンドだろうって思っていました。 そのポール・ウェラーとは全然ちがうな。いい意味で違う男になってる。 なにかしらの変遷、そうして今ある形がとても魅力的で、 うまく言い表せない。なんでいいって思うのかな?? とにかく、いずれにせよ、このことに気付かせてくれたのは「はつでんくん」のおかげだ。 話は急角度に変わります。 不条理演劇コント集なる芝居を見てきました。 別役実さんのショート作品を中心とした企画舞台、ショート演劇の連発です。 この舞台は「くすっと笑わせる」ことが主眼の演目のようで、確かに毒野藤田もところどころクスっと笑わせてもらいました。 パンフレットには 「どうしておかしいのかわからないけどおかしい、という笑いが、笑いの最上級である」 そう別役実氏は書かれておりました。 その通りだなーって思います。その笑う理由を自分自身の中で扱いかねるとき やられたって感じる。 つまり、理由がわかんない。 理由がわかんないけど、いい。 それで、その卓越した一瞬の笑いに出会ったとき、なにか得をしたような気になる。 ♪ ここに電池の要らないラジオがあって、その形も軽さもなかなかいい。 そこから縁あって 僕はポール・ウェラーのダンディズムに感動をしました。 こういう風に年を取れたらいいなぁ、・・そういうことです。 それらはかく在りき良さを、それそのまま飾らずに投げ出して そのいさぎよさといったら、 うまく説明が出来ません。いいと思う理由など私自身がわからない。 ・・・だから、たたずまい、などというコトバが出てきたのでしょう。 これから、梅雨に入ってゆくみたいですね。外はそういった梅雨の走りの雨。 笑いの少ない日々に懐かしいナンバー。外は静か。 あまり積極的に読まなくなった新聞の、一面に取り組む朝。 そうして、ひっそりとした仕事環境と、二ヶ月目に入っての倦怠感。 ただ、それを救うのは、くすっとした笑いであり、憧れのポール・ウェラーのあり、 はつでんくんから流れるMove On Up。カーティス・メンフィールドのたたずまいです。 でも、この赤いレバーをぐるぐるって回せば電気が起こって、ラジオが聴けて 夜道を照らせて、ケータイだってずっと充電できる。 地震が来たら、こいつと行動を共にするのだ。みんなのケータイを充電してやる!! はつでんくん、願わくばそのたたずまいに加えて、僕らの未来も充電してほしいよ。 走り梅雨の静けさにこの夏の猛暑いなかを占う西荻路地裏通信
by fujita929
| 2011-05-11 13:06
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